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2.1 何故 apt-rpm か?

個々のソフトウェアを開発する人達を宮大工さんとるすと、
apt-rpm は差詰め行政の様なものです。
そして OSXWS が提供する「環境」は 都市の様なもの です。
都市を造るのに大工さんだけでできる訳がありませんよね。
ですから「行政」担当の apt-rpm が必要になるのです。

もっと現実的なご利益を言えば
パッケージの作成、管理、利用の全てで
楽ができるから です。

例えば、TeX の環境を構築したいのであれば、
ターミナルを開いて

        $ sudo apt-get update
        $ sudo apt-get install OSX-base
        $ sudo apt-get install task-texlive
        $ sudo apt-get clean

とするだけで TeX 関連のパッケージをまとめてインストールし、
且つ、各ユーザーのドットファイル群を含む面倒な各種設定まで
自動で片付けてくれます

パッケージの更新はバグが見つかる度に成されますが、 その場合でも、

        $ sudo apt-get update
        $ sudo apt-get dist-upgrade
        $ sudo apt-get clean

でおしまいです。
いちいちインストールし直す必要は無いのです。

この様な楽ができるのは apt-rpm system に先人達の成果を集積しているからです。
ソース・パッケージ (hoge-ver-rel.src.rpm) には
ソースだけでなく、パッチやコンパイル、インストールの仕方まで
こと細かに書かれています。
つまり web 上に散らばった情報を集積している訳です。
OSXWS をインストールして src.rpm を展開 してみれば
貴方が何時間も、 時には何日も掛けて探しまわった情報と作業が
たった一つの src.rpm ファイルに凝縮されている
事に気づく筈です。

どうですか?
かなり楽が出来そう
ではありませんか?

MacOS X 上での UNIX 研究環境を構築するには Fink をはじめ、
琉球大学の EasyPackage や、MacPortsHomebrew、 等があり、
それぞれみなパッケージングシステムを持っています。
他にもパッケージングシステムを持たない総合情報として Mac Wiki が在り、
自分が必要とするソフトを手で一つ一つ入れる事も出来ます。

当然の事ですが、それぞれに利点と欠点があります。

他のディストリビューションと OSXWS との違いは 発想と目的にあります。
大抵のディストリビューションは、OSX に標準では準備されていない
UNIX アプリを手っ取り早くインストールするのが目的に見えます。
ですが OSXWS は違います。
OSXWS はすぐに仕事ができる環境の提供が目的です。
つまり、
殆どのディストリビューションは「大工さん的な発想」を引きずっている
のに対して、
OSXWS は徹底して「行政」の発想を貫いています。
OSXWS は、MacOS X と云う国の中の一省庁の体裁を保っており、
徒に規模を大きくする事はしません。
これが
ごく少数の開発者だけでも開発を続けいける状況
を実現しているのです。

OSXWS は、開発者たちが仕事をする為に作っています。
ですから、
OSXWS は開発者たちが仕事をしている限り続きます

apt-rpm を用いる副次的な利点としては、同じシステムを用いている
Vine Linux 等 Linux の成果を活かし易い 事があげられます。
以下、システムの簡単な概要を説明します。

rpmRed Hat が Linux distribution のパッケージングシステムとして 開発したものです。

rpm, rpmbuild 等のコマンドを通して、 パッケージの

を行います。 パッケージ間の依存関係の情報をパッケージ自身が持っているので、
必要なライブラリを抜かしてインストールする様なミスを 防ぐ事が出来ます。

Vine Linux 等、多くの Linux Distributer がこのパッケージングシステムを採用しており、
MacOS X WorkShop に移植する際にそれらを拝借出来ます。
また、ソフトベンダーが Linux 向けの製品を提供する場合は 殆 rpm 形式が使われており、
Linux での標準的なパッケージングシステムになっています。

aptDebian GNU/Linux が Linux distribution のパッケージ管理ユーティリティとして 開発したものです。

Debian の特徴は rpm ではなく独自のパッケージシステムを利用している事と、
8000 以上の膨大なパッケージ数を抱えている事です。
パッケージングシステムは兎も角、
この様な膨大なパッケージを利用する為には 何らかの強力なパッケージ管理ユーティリティが必要です。
apt はその目的を果たす為に開発されています。

apt-get, apt-cache 等のコマンドを通して、

等、一度利用したら手放せなくなる機能を提供してくれます。

apt-rpmConectiva Linux が Linux distribution のパッケージ管理ユーティリティとして
Debian の apt を rpm に対応させたものです。

MacOS X WorkShop では Conectiva の apt-rpm を Vine Linux が日本語対応にした物を流用しています。

rpm や apt の利用方法は「 MacOS X WorkShop の使い方 」を御覧下さい。


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KOBAYASHI Taizo
2012-09-03